HUTエッジインクの開発経緯

私(村上)が靴の仕上げで1番拘る箇所がエッジになります。

正直なところ、一般的にはそこまでエッジに拘る必要性があるのかというところもありますが

これは、私が底付師だからということもあると思います。

そんな中、大変有難いことにエッジの仕上りを気に入ってくださった方々から、エッジ磨きのご要望を多くいただいておりました。

しかしながら、

エッジ磨きは経験に基づく知識と感覚が必要な作業で、当工房では私以外できないことから

エッジ磨きを単体のサービスとして、ご提供させていただくことは出来ませんでした。

これは、エッジ磨きは必要以上に手間(時間)がかかる作業になることもあるため、

エッジ磨きを単体のサービスとして受けさせていただくと、その分修理のご依頼を受けられなくなりご迷惑をおかけしてしまうからです。

このような理由から、誰でも(当工房の職人でも)エッジを綺麗に仕上げられるエッジインクがあればと思いHUTの開発に至りました。

誰でも(当工房のスタッフでも)
仕上げられるエッジインクを

エッジ磨きで大切なのは「色と質感と透明度」の三つです。

実は、この「色と質感と透明度」は既存のインクを使っただけでは出せません。

故に、先人の底付師さんたちは、つどつど複数の薬剤を組み合わせ、その靴のエッジに合った「色と質感と透明度」を与えてました。

しかしこのやり方は、各職人の経験に基づく知識と感覚が必要となるため

現在当工房では二人の職人がいますが、(二人とも靴の修理店で店長経験もあるキャリア10年以上の職人です。)

未だ当工房で求めるエッジの仕上がりには達していませんでした。

同一ラインで3工程に分けることで組み合わせを簡易的に

わざわざ新しいエッジインクを開発しなくても「薬剤の組み合わせを教えれば良いのでは?」というご意見もあるかと思いますが

現実的には難しいのが現状です。

実務的にもですが、エッジ磨きに関しては経験に基づく「感覚」が大きいからです。

例えば、美容師さんで例えるとカラー剤と似てるかもしれません。

同じカラー剤を使用してもAさんとBさんで全く同じ色に仕上がることはないと思います。

靴のエッジも同じようにその革ごとにやり方が変わってきます。

私ごとで言えば、ご指導いただいた先代と関さんお二人のやり方も違いました。

その靴その靴においてお二人の「感覚」が微妙に違うからです。

なので、私自身も具体的に教えられたことはなく、お二人のやり方を見て盗んで真似てを繰り返して自分なりの「感覚」を得ていきました。

そして今は、先代と関さんのやり方と、私のやり方も異なります。

このような経験から、ある程度決まった組み合わせがあればと考え、同一ラインで3工程に分けたHUTの開発にいたりました。